◆ポイント
・生命保険金の相続税非課税枠(500万円×法定相続人数)は必ず使うべき。
・相続税がかかる人の場合は、受取人は妻ではなく子にするほうがよい。
死亡保険金には一定額、相続税が課税されない非課税枠がある
平成27年の税制改正で人が亡くなった時にかかる相続税が大幅にUPしました。相続税がかからないラインである基礎控除が大幅に下がったのです。
夫の相続が発生し相続人が奥さんと子供2人という平均的な家庭の場合、夫に万が一相続が発生した場合の相続税の基礎控除は次の通り計算します。
600万円×法定相続人の数(3人)+3,000万円=4,200万円
この場合夫の財産が相続税評価額で4,200万円以上で相続税が課税されてきます。
具体的な例でみてみましょう
夫の総財産 5,500万円
自宅の相続税評価額 3,000万円
預貯金等の金融財産 2,500万円
相 続 人 合計3名 奥さんと子2人
生命保険の非課税枠を上手に使う上記の家庭で、夫に万が一相続が発生した場合、総財産が基礎控除の4,200万円を超えるので相続税が課税されることになります。
生命保険は残された遺族の生活保障としての性格があるので、特例として国が一定額を課税しない「非課税枠」を設けています。
生命保険金の相続税非課税枠=500万円×法定相続人の数
それでは先ほどのケースで、夫が金融財産のうち1,500万円で生命保険金に加入した場合はどうなるでしょうか?
夫の総財産 4,000万円
自宅の相続税評価額 3,000万円
預貯金等の金融財産 1,000万円
(非課税生命保険 1,500万円)
預貯金で持っていれば相続税の課税対象なのに、生命保険に形を変えただけで相続税がかからないなんで、こんないいことはありません。
生命保険1,500万円は相続税の計算では非課税となるため、相続財産には算入されません。よって総財産は基礎控除4,200万円を下回り、この場合相続税は何と0円になるのです。
高齢だから生命保険に入れないとあきらめていませんか?
「親父も80歳近いしなぁ、そもそも生命保険に入れないでしょ」なんて思っている方には朗報があります。
近年では生命保険の商品開発が目覚ましく進化しており、たとえ80歳以上でも一払い型の終身保険であれば加入できます。(保険会社や加入時期によって取り扱いは異なります。)
一時払い終身保険の例 60歳男性 一時払い保険料980万円 死亡保険金 1,000万円 解約時の返戻金 1年目900万円 3年目950万円 5年目980万円 |
一時払い終身保険は相続対策商品のため、夫の相続まで解約しないのが前提です。
しかし、諸般の事情により解約せざるを得なくなったっ場合、わずかですが3から5年程度は解約返戻金は元本を下回ることも頭に入れておきましょう。
生命保険金の受取人は誰にするのが本当にお得なのか
相続税の配偶者軽減を考えて、子が生命保険金の受取人になる!
生命保険金の受取人は奥さんというのが普通の考え方です。ただし、相続税が課税されるお宅については少し考えるべきです。
相続税には配偶者軽減という税金の特例があり、配偶者は財産の半分又は1億6千万円のいずれか大きい額までは相続税が課税されない、つまり、配偶者は相続税を払わないことが多いということです。
夫の相続では妻は相続税を払わない事が多いのであれば、子が生命保険金を受け取るようにしておけば、子はその受け取った金額を相続税の納税資金として活用可能です。